感動した!→デマでした→「いい話だからいいじゃん」って流れはもうやめません?
こんな画像とストーリーがFacebook上でたくさんシェアされて流れてきたので、思ったこと。
ある寒い1月の朝、一人の男がワシントンD.C.の駅で座りながらバイオリンを弾き始めました。彼はバッハの曲を1時間程演奏しました。その時間帯は通勤ラッシュだったため、約1100人がその男の前を通りました。
(中略)
これは実際にあった話です。
(中略)
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色々色々色々ツッコミどころはあるけど、目をつぶる。それでこの投稿が、なんと4万以上いいね!と4万以上シェア。ただ、鋭い人ならこの後の展開がわかると思うけど、事実と違うのだ、これ。
とりあえずソースの動画を見てみた
文中に登場するバイオリニスト、「ジョシュア・ベル」で検索したらすぐに動画が出てくる。
1:35くらいから真ん中あたりにスーパーの袋(?)を持って最後まで立ち止まってる人が最後に話しかけてるし、実際はもっと長く演奏したうちの2分半弱の動画だけど、この動画を見ただけでも『止まった人は誰もいませんでした』というのは違うってわかる。で、ちょっと怪しいぞって思って調べてみたら、既によっぽど詳しく検証してる人がいた。
【参考】[Web] Facebookで人気の「有名なバイオリン弾き」は限りなくデマ
ただ、最初に書いた人に悪意があったとは思わない。シェアした人も同じ。純粋に( ;∀;) イイハナシダナーと思ってやったことだろうし、もうこれは仕方ない。今回の言いたいことはそこじゃない。
「いい話だからいいじゃん」でほんとにいいの?
やっと本題。実際この話がデマ(に近い事実誤認)だったことは、この人のタイムライン上でも流れてるんだけど、そこで語られてる文脈がなんだか少し気持ち悪い。
個人的には本文の中に「これは実際にあった話です。」と書いちゃってる以上、その「いい話」が事実と異なっているとわかったとき、「でもいい話だし、僕らは色々考えることもできたし、いいじゃんいいいじゃん。めでたしめでたし。」っていうのは、論点のすり替えで全く話が違う気がしてる。
じゃあ映画や小説はどうなんだ?って意見もあるけど、創作を前提にして受け取るのと実話を前提にして受け取るのを、同じレベルで考えてほんとにいいの?個人的には百歩譲って「創作と思って見てた話が実は実話でしたー」はなんとなくアリだけど、逆はナシだなと思う。なんか騙された感がある。
それぞれの感覚の問題でしょって言われたらそれまでだし、創作と実話の優劣があるとも思ってないけど、少なくとも自分が発信する内容については、その線引はハッキリさせてお伝えしていこうと思った次第。これを読んでる皆さんは、どう思いますか?