歩きスマホのせいで亀をスルーする浦島太郎の広告がせっかく面白いのにスルーされそうでもったいない

名古屋の南山大学の学生がインターンシップで考えた「歩きスマホ」の注意喚起広告が面白い。

urashimataro

oujisama(南山大学×JAFRA 中部支部 学生インターンシップ事業「歩きスマホ」注意喚起デジタルサイネージ広告を制作 より)

わずか4行で、一瞬にして「完」。前に見つけた、15秒でわかる日本昔ばなしと世界の昔ばなしに通じるシュールさ。こういうの大好きです。

このアイディアの何がいいって、「とあるおじいさんが竹やぶでチェックインしていましたとさ」とか「とあるおばあさんが川で洗濯の合間に課金していましたとさ」とか、他の展開がどんどん考えられそうなところ。そして最近いくつかの企業のCMでも見られるけど、みんなが共有している童話というコンテクストを用いることで、必要最低限の言葉でメッセージを伝えきっているところ。

ただ、問題は掲載箇所。媒体イメージによると駅構内の柱にあるデジタルサイネージを活用するらしい。

keisaibasyo(南山大学×JAFRA 中部支部 学生インターンシップ事業「歩きスマホ」注意喚起デジタルサイネージ広告を制作 より)

うーん…これだと、この広告を見て欲しい人こそ、この広告を確実に見ない気がするのは自分だけだろうか。

以前話題になっていたこの階段の広告は、「見ない人がいるからこそ成り立つしむしろその訴求力が増す」という皮肉なところがとても面白かったし、だからこそ駅の階段に掲載する理由があった。

kikendesu_arukisumaho※補足すると、「危険です、歩きスマホ。」というコピーの下に、括弧付きで「本人は、この広告見ないだろうけど」と書かれている。
ASCII.jp:「歩きスマホ」は危険! NTTドコモが新宿駅で注意喚起の広告を掲出より)

今回の場合、本当に注意喚起の広告として扱うなら、スマホ内にバナーとして出すほうが効果あるんじゃないのかなぁ。もちろんPR要素はガクッと下がるし、何より元々のきっかけが日本鉄道広告協会との連携という大人の事情はあるにしても。

「歩きスマホは危険だからダメ」という正論からではなく、「色んなきっかけをスルーしているかもしれないよ?」という別の切り口を茶化して提示したのがとても良いと思うので、デジタルサイネージとPRだけじゃなくてもっと多くの人に実際の広告として提示する機会があってもいいんじゃないかと。だってこの広告自体がまずスルーされそうなんだもん。

スマホでメディアやバナー枠を持っている企業がこのアイディアを買って掲載したら、ステキな事例になると思うんだけどなぁ。どこかやらないかなぁ。

ポータルサイト開いた瞬間とかゲームやっている最中に、このバナーがどーんと出てきたら結構「おっ」となると思うんだけどなぁ。

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